mori - 鳥がいない
The Forest - Without a bird.


materials : leaves, woods, dead body.
period : 26/01/2012 - 06/02/2012
place : Komyoji-kaikan (AIR cafe 2nd floor) Onomichi-city, Hiroshima.

大学二年の終わりに初めて開いた個展です。約6000リッターの落ち葉を山から集めて来て床に敷き詰め、角材を林立させ、大きな木の切り株を譲り受けて来て奥に配置しました。テーマは人間にとって心地の良い生き物のいない森。
 以前より自然が好きだという人々の話しを聞く度、彼らのほとんどが人間にとって都合のいい人工林を自然林だと思い込んで恥ずかしげもなく自然を語っていることに欺瞞を感じていました。本当に自然度が高いところは虫や野生生物などの外敵も多く、人間にとって都合の良いように整備もされていないため、居心地がいいところなどではないのです。そこで私はその欺瞞を更に押し進めてみようと考えました。地面が剥き出しのコンクリートの場所に自然を感じる人は少ないでしょう。ですがそこが枯れ葉で覆われてしまったらどうでしょう。また、等間隔に整然と並ぶ杉林を見て何の疑問も持たずに「自然が豊か」なんて言ってしまう現代人なら角材を本来木が生えている方向とは逆さまにして木に見立てて並べてもそれを森のようだと感じてくれるんじゃないでしょうか。それだけではちょっと味気ないなら立派な木の切り株をどんと置いて神々しさも演出してみましょう。仕上げに殺虫剤を焚いて虫を殺し、人間以外の外敵や生き物のいない空間にしてしまえば人間にとって心地の良い森の完成です。
 展覧会には多くの方が来て下さり、「素敵な空間」だとの言葉も沢山頂けました。何時間もじっと佇む人、枯葉を踏みしめる音に耳を傾ける人、木や枯葉から立ち上る自然的な匂いを楽しむ人、何度も遊びに来てくれる子供達。私は展覧会の間ずっと会場に居て人々の反応をつぶさに見ていました。どうやら人間にとって心地の良い生き物のいない森を作ることには一応成功したようでした。外敵や不快な他の生き物がいなくて、安全で快適で、適度に自然を感じられる様な記号が散りばめられた空間、それこそが人間にとって理想的で心地の良い空間であり、それは人工の空間以外には存在しえないものです。私達は純粋な自然空間では快適に生きられない生き物です。そんな人間が自然を求めたり守ったりしようとすることは本来強い葛藤やストレスを伴う行為である筈です。もしそこに葛藤やストレスがなく、逆に居心地の良さや快適ささえあるのならばそれは欺瞞なのだと思います。
This is my first solo exhibition when I was second grade of University. I gathered 6000Litter leaves from a hill and to cover a floor. Then I make forest by woods.
The tema of this exhibition is "comfortable space that looks like nature but there are no livings without human".


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